こんにちは、もやしししゃもです。
最近、市場全体で価値の総量がどれくらいなのか気になっていて、世界のお金と市場をまとめたインフォグラフィックスを発見したので、じっくりと眺めようかと思います。
画像を見たらピンと来る方もいるかもしれませんが、「Visual Capitalist」さんの記事からの引用となります。2017年版があったのは知ってましたが、2022年版が知らない間に出ていたので一緒に見ていきましょう。
→All of the World’s Money and Markets in One Visualization (2022)
市場全体の価値総量に興味を持った理由は、ビットコインの今後を考える上でどの市場にどのくらいの規模のお金があるかを知りたかったからです。2009年1月のBitcoin v0.1リリース時にHal Finney氏が書いたメールに関係しています。
As an amusing thought experiment, imagine that Bitcoin is successful and becomes the dominant payment system in use throughout the world. Then the total value of the currency should be equal to the total value of all the wealth in the world. Current estimates of total worldwide household wealth that I have found range from $100 trillion to $300 trillion. With 20 million coins, that gives each coin a value of about $10 million.
面白い思考実験として、Bitcoinが成功し、世界中で主要な支払いシステムとなったと仮定してみましょう。その場合、通貨の総価値は世界中の富の総価値に等しくなるはずです。私が見つけた世界中の世帯の総富裕層の推定は100兆ドルから300兆ドルの範囲にわたります。2000万枚のコインがあれば、それぞれのコインの価値は約1,000万ドルになります。
— Hal Finney(2009/1/10)
おそらく、2009年に比べて市場はインフレしているため、当時の規模とは異なるかもしれません。1BTCが将来何円になるなど予想は色々あるかと思いますが、まずは規模の比較や世界市場がどうなっているか把握するのは大切なことだと思います。
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世界のお金と市場を見てみる(2022年版)💰
早速、2022年時点での市場の大きさを見ていきましょう。ドルだと慣れていない部分もあるので、円変換することがあります。1ドル=130円で換算していきます。
実際の画像が縦長で長すぎるので、画像を切りながら添付しています。原文の方で見たい方はこちら。
→All of the World’s Money and Markets in One Visualization (2022)
前提として、1つの正方形は1000億ドル(13兆円)で表現されます。この記事の執筆時が2022/11/28ということもありFTXのSam氏がネタにされていますね。
北アメリカのプロスポーツチーム:3400億ドル(44兆円)
NFL:42%
NBA:25%
暗号資産市場:7600億ドル(98兆円)
Bitcoin(41%):約3100億ドル(40兆円)
2022/11/28より今のビットコイン時価総額の方が高いですが、一旦約3100億ドル(40兆円)がベースになりそうです。ビットコインとスポーツチーム全体が意外と近いですね。
軍事費:約2兆1000億ドル(273兆円)
アメリカ:約8000億ドル(104兆円)
中国:約2000億ドル(26兆円)
その他:約1兆ドル(130兆円)
軍事費はいつも捉えにくかったですが、ビットコイン40兆円をベースにすると、少しは捉えやすいような気がします。
硬貨・紙幣(一般人が「お金」と考えるもの):約8兆ドル(1040兆円)
アメリカ(3.3億人):約2兆500億ドル(266兆円)
EU圏(4.4億人):約1兆8000億ドル(234兆円)
中国(14.12億人):約1兆3500億ドル(175兆円)
日本(1.25億人):約1兆3000億ドル(169兆円)
その他:約1兆5000億ドル(195兆円)
人口を軸として考えると、日本は1人あたり約1万ドル(130万円)でタンス預金のせいか他国よりも多いように思います。ビットコインは40兆円なので、4倍くらいになると日本円とほぼ同じになります。
地上にあるゴールド(20万5238トン):11兆5000億ドル(1495兆円)
ジュエリー:46%
延べ棒・コイン(ETF含む):22%
中央銀行:17%(約254兆円)
その他:15%
埋蔵ゴールド:約3兆2000億ドル(416兆円)
ビットコインはデジタルゴールドとも例えられ、ゴールドは注目すべき項目かと思います。BTC価格が約37倍になるとゴールドと近い時価総額になります。まだまだ差が大きいです。
ジュエリーが半分くらいに該当するのが意外でした。昔作られた金の宝飾品がそのままとかなのかなと思いました。または、宝飾品とすることで付加価値を付けて割高で売りやすいのかもしれません。
中央銀行は17%なので約254兆円です。この数値は今後重要になるのかもしれません。
ビリオネア2668人:12兆7000億ドル(1651兆円)
ビリオネアは10億ドル(1300億円)単位の資産を持っている人です。世界の硬貨・紙幣が約8兆ドル(1040兆円)なので、彼らの資産を合計値の方が大きいです。株式や土地など形は異なるかとは思います。
中央銀行バランスシート:28兆ドル(3640兆円)
米国連邦準備金:8兆7000億ドル(1131兆円)
欧州中央銀行:8兆6000億ドル(1118兆円)
中国人民銀行:5兆5000億ドル(715兆円)
日本銀行:4兆7000億ドル(611兆円)
右のグラフから中央銀行のバランスシートは増え続けています。2020年に急増しており、コロナ問題に対してインフレを加速したことがわかります。
S&P500全体時価総額:36兆ドル(4680兆円)
中央銀行バランスシートが28兆ドル(3640兆円)なので、S&P500企業の合計時価総額の方が大きいです。しかし、すべてが市場にあるわけではないと思うので、利用可能な価値としては単純に比較することはできません。
アメリカGDP:中国GDP = 23兆ドル:17.7兆ドル
アメリカと中国の経済規模は近づいてきているように見えますね。
M1は「狭義通貨」の供給量を表す(即座に使用可能な通貨の供給量)
・現金(紙幣・硬貨)
・当座預金M2は「広義通貨」の供給量を表す(広範な経済指標の分析用)
・M1の内容
・定期預金
・金融市場の口座
・貯蓄
マネーサプライ
M1:48兆9000億ドル(6357兆円)
M2:82兆6000億ドル(1京738兆円)
ついに「京円」が出てきました。マネーサプライが「お金の全体」に考え方として近いのかなと個人的に思います。ビットコインが40兆円、ゴールドが1495兆円と考えると、かなり多くの「お金」があるように思います。
多くの資産の裏付けは国の信用かと思うので、それぞれの国に危機があれば預金を引き出せなくなったり、数値が減少する可能性があります。
株式市場:約95兆5000億ドル(1京2415兆円)
NYSE:24.9%
Nasdaq:18.0%
Shanghai:6.2%
Euronext:5.8%
Japan:5.1%
Other:40.0%
暗号資産市場が7600億ドル(98兆円)であることを考えると、株式市場はかなり大きいです。株式市場は時価総額を示し実際に使えるお金ではないので、全体としてM2の82兆6000億ドル(1京738兆円)よりも大規模です。
債務全体:300兆ドル(3京9000兆円)
非金融法人:29.5%
政府:28.6%
金融セクター:23.1%
世帯:18.9%
2020年1月から2022年への増加率
非金融法人:+16%
政府:+22%
金融セクター:+10%
世帯:+14%
政府債務が一番伸びています。桁がどんどん上がってきています。正直債務や国債周りについて詳しくはないですが、この数字の大きさは経済が動いている理由とも捉えられます。
不動産全体:326兆ドル(4京2380兆円)
住宅:79.2%
農業:10.8%
商業:10.0%
不動産市場、想像以上に大きくて驚きました。土地ではなく建物に対する資産価値かと思うので、個人的には付加価値が異常に乗っかっているように見えます。
住宅不動産のうち、中国が1/3のシェアを占めているようです。たしかに、中国人は日本の不動産買ったりしているイメージがあるので、彼らが住宅不動産市場を維持しているのかもしれません。
世帯の資産:463兆ドル(6京190億円)
北アメリカ:34.1%(アメリカ29.4%、カナダ2.4%)
ヨーロッパ:22.9%(ドイツ3.8%、フランス3.5%、イギリス3.5%)
中国:18.4%
アジア太平洋:17.5%(日本5.5%、オーストラリア2.3%、韓国2.2%)
インド:3.1%
ラテンアメリカ:2.7%
アフリカ:1.3%
もろもろの世帯の資産を合わせると6京円ほどの規模になります。不動産が4京2380兆円、株式市場が1京2415兆円、M1が6357兆円、この3つを足すと6京円ちょいになるのでそんなものかもしれません。(一部重複などあるのかもですが)
暗号資産市場は98兆円(ビットコインは40兆円)なので、世帯資産と比較すると0.16%くらいなのでまだまだマイナーな資産です。ゴールドは1495兆円なので、2.48%ほどの影響力があります。
このデリバティブで最後です。「Market Value(市場価格)」「Notional Value(想定元本)」の2種類があります。「Notional Value(想定元本)」はかなり大きいです。
Market Value(市場価格):12兆4000億ドル(1612兆円)
Notional Value(想定元本):600兆ドル(7京8000兆円)
デリバティブ市場はすごく大きいですね。デリバティブは「派生」という意味であり、先物、オプション、ワラント、スワップなど色々と含まれます。こちらもあまり詳しくないですが「未実現なもの」として捉えています。
ハイリスクなサブプライムローンや安全資産の国際をまとめた「債務担保証券(CDO)」、CDO下落に備えた保険の役割である「クレジットデフォルトスワップ(CDS)」がリーマンショック時にありました。
リーマンショックが起きたように、複雑なオプションだと中身の一部が腐っていることに気付かないかもしれません。暗号資産でも複雑な商品やトークンが増えてきていると思います。自分が現在何を保有しているのか、どこがダメになるとリスクになるのかは事前に把握しておいた方が良さそうです。僕は怖がりなので、できるだけピュアな資産を持っていたいです。
2017年と2022年の比較📅
2017年から2022年の比較があったので、増加率をリストします。
Appele時価総額:+185%
暗号資産市場:+339%
Fedバランスシート:+93%
株式市場:+31%
グローバル債務:+40%
正直、暗号資産市場はちっぽけな印象を受けましたが、増加率としては大きいです。結局、債務もFEDバランスシートも軒並み増加しています。
まとめ:市場は大規模だけど中身は複雑🤡
世界のお金と市場をまとめたインフォグラフィックスを見ていこう、という回でしたのでそこまでまとまりのある内容ではなかったかもしれません。ビットコインの規模の小ささから、アップサイドを皮算用してみるのもおもしろいですね。(2022年当時はビットコイン40兆円ですが、この記事の執筆時は70兆円くらい)
ただ、暗号資産以外の市場の規模感を知っておくと、どこが倒れるとどの程度ヤバいのかという肌感覚が得られるかもしれません。この記事を書くことで、市場の規模感覚がうっすら脳に入ってきたのが良かったです。
直近、クレディスイスであったり、他の銀行などもリスクが高い状況になってきています。「これは国の後ろ盾もあるし大丈夫だろう」みたいに考えていたものがダメになったりもします。
これまで添付してきたグラフィックスの、どれが信用創造的に作られた額面としての資産で、どれがピュアな資産なのかなど考えてみてもいいかもしれません。個人的に全ての価値がピュアな資産に吸い込まれるとまでは思いませんが、ラストリゾート(最後の拠り所)や、自分の資産がリスクを持った時の移転先なども考えてもいいですね。
資産が複雑に絡めばドミノ倒しが始まります。資産がピュアであれば影響は限定的です。
関連記事:
・Hyperbitcoinizationとは?歴史と個人的感想📜#30
・ビットコインにおける価値と価格の関係性💰#40
今週のビットコイン関連ニュース⚡
シリコンバレー銀行の親会社が破産を申請し、ビットコインが上昇
シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻とのこと
シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行、も相次いで破綻
負の連鎖は続くかもしれません
クレディスイス経営不安で相場全面安、ビットコインのドミナンス急進に3つの理由
ビットコイン急伸の理由として「欧米発の金融危機リスク」「ステーブルコインの信用不安」「アルトコインの有価証券問題」の3つが挙げられています
明確な理由などはわかりませんが、どこからビットコインへ資金流入しているかが気になります
クレディスイスの救済や買収をどうするかなど、色々と議論が盛んになっています
The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks
The Times 2009年1月3日 首相、銀行に対する2度目の救済措置の瀬戸際
— Satoshi Nakamoto
おまけ:過渡期も自分を大切に🪴
GPT-4にアプデしたり、銀行のリスクが顕在化してきたり、世界的な過渡期なのかもしれませんね。ストレスが増える時期かと思いますが、自分がコントロールできるものを考えて、地道にできることや趣味に没頭するのが良さそうです。
適切な時に適切な場所にいられるよう、逆に不適切な時に不適切な場所を避けられるように日々考えていければなと思います。
関係ないですが、最近自然に戯れて盆栽おもしろそうと思ったので、めちゃくちゃ小規模なミニ盆栽をやってみようと思います。毎日の水やりや、たまにする手入れなど色々やることはありそうですが、長く共に時間を過ごせるかもしれないと思うとワクワクします。(まずは枯らさないように)🪴
ビットコインが好きであれば、僕のRead BTCでもいいですが、Der Gigiさんの記事を読むのもおすすめです。ビットコインはリスクオフの時期にこそ重要な役割を持つと思っているので、不安を感じやすい人ほど価値があるのかもしれません。
関連記事:ビットコインの哲学的な伝道師「Der Gigi」の紹介🐇#43
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