こんにちは、もやしししゃもです。私事ながら、こちらのSubstackの登録者が500人を超えました!🎉
ビットコインに興味を持つキッカケになる記事を作っていきたいなと思います。今後ともよろしくお願いします!


今回は、ビットコインの構成要素の1つである「ブロックチェーン」について理解を深めようと思います。ブロックチェーンの仕組みなどではなく、なぜブロックチェーンが必要なのかという観点で深堀りします。
ビットコイン知ってます。けど「ブロックチェーン」の技術には夢がありますね!
特に上記のような方には、ブロックチェーンの意味について改めて考える記事になればいいなと思います。ブロックチェーンの何に夢があるのか、どんな意味があるのかを各個人で考えることは大事です。
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ブロックチェーンの歴史📜
ビットコインとブロックチェーンの関係へ入る前に、軽くブロックチェーンの歴史について振り返ります。もちろん「ブロックチェーン」という単語はビットコインが生まれた後に出てきましたが、ブロックチェーン的な考え方はビットコインよりも前にあったとされています。(wikiepdiaより調査)
1982年、暗号学者のDavid Chaum氏が「相互に疑わしいグループによって構築、維持、および信頼されているコンピュータシステム」というブロックチェーン的なプロトコルを提案。
1991年、Stuart Haber氏とW. Scott Stornetta氏が「デジタルドキュメントにタイムスタンプを付ける方法」により概説。
ビットコインホワイトペーパーのリファレンス📄
1992年、Stuart Haber氏、W. Scott Stornetta氏、Dave Bayer氏が「デジタルタイムスタンプの効率と信頼性の向上」でマークルツリーを導入。
ビットコインホワイトペーパーのリファレンス📄
1999年、H. Massias氏、XS Avila氏、J.-J. Quisquater氏が「最小限の信頼要件を備えた安全なタイムスタンプサービスの設計」を公表。
ビットコインホワイトペーパーのリファレンス📄
2008年、Satoshi Nakamoto氏が「ビットコイン:P2P電子通貨システム」で「タイムスタンプサーバー」という内容で記載。
その後様々なブロックチェーンプロジェクトが発生。
ざっとまとめるとブロックチェーンの歴史は上記のような感じです。
ビットコインホワイトペーパーに、「block」という単語と「chain」という単語はありましたが、「blockchain」「block chain」という単語はありませんでした。確かに「chain」と呼ぶよりも「blockchain」の方が名前として意味が伝わりそうですね。
最初からBlockchainという記載でないのは意外と思うかもしれません。ホワイトペーパーのイントロでは下記のように説明されています。
In this paper, we propose a solution to the double-spending problem using a peer-to-peer distributed timestamp server to generate computational proof of the chronological order of transactions.
この論文では、ピアツーピアの分散型タイムスタンプ サーバーを使用してトランザクションの時系列の計算証明を生成することで、二重支払いの問題に対する解決策を提案します。
- Satoshi Nakamoto
この段階でブロックチェーンが必要な理由がわかるかもしれませんが、次章で改めて説明をします。
なぜビットコインにブロックチェーンが必要か?🤔
ビットコインにブロックチェーンが必要な理由は、端的に言うと下記の3つかと思います。
改ざんを防ぐ
二重支払いを防ぐ
分散的に運用する
1つ重要なこととして、ブロックチェーンを使いたいからビットコインを作ったのではなく、ビットコイン(P2P電子通貨システム)を実現するためにブロックチェーンというコンセプトを取り入れたということです。ブロックチェーンが手段であり、ビットコインが目的です。
また、上記3つの理由に通じる根本的な課題は「時間」です。
一般的に利用される硬貨や紙幣では、AさんがBさんにお金を渡すと2者間で「Bさんが持っている」ということを認識できます。硬貨形式の場合「いつ送ったか」という記録をしなくても問題ありません。AさんがBさんに渡した硬貨を、別のCさんに渡すことはできません。今誰が硬貨を持っているか、そこだけが重要です。
一方でビットコインは分散型台帳という形式です。台帳形式ではAさんがBさんに送る際、第三者である誰かが台帳へ記録をする必要があります。記録内容は主に「誰が誰にどの数量をいつ送ったか」です。台帳形式の場合「いつ」を記録しなければ、今誰がどのくらい持っているかを把握できません。
UTXOやアカウントモデルなども関わりそうな内容ですが、複雑になりそうなのでここでは割愛します。
とにかく、ブロックチェーンは時間という概念において重要です。Satoshi Nakamotoが「タイムスタンプサーバー」と呼んだように、ビットコインと時間という概念には強い紐付きがあります。
ビットコインにおける時間の概念⌛
ブロックチェーンの話かと思っていたのに、急に哲学的な雰囲気になってきましたね。w
ビットコインの世界における時間は「Block Height」で表されます。これは、ビットコインスタート時からのブロックの数を表します。ちなみに現在のBlock Heightは766,909です。
BLOCKCLOCKというビットコイン時計もグッズとして販売されたりしています。
なぜビットコインで現実の時間を直接使わない?
Proof of Workにおけるマイニングにより、ビットコインのブロックが生成されます。つまりビットコインにおける時間(ブロック)はマイニングにより進みます。難易度調整により10分へ調整されるものの、ブロックごとの時間は10分より短かったり長かったりします。
なぜ、ビットコインでは現実世界の時間を直接利用しないのでしょうか?理由は分散型システムにおいて絶対的な時間が存在しないからです。
世界標準時を絶対的な時間にしますか?ビットコインは世界標準時をどのように知ることができますか?世界標準時に合意しないノードが出てきたらどうしますか?オラクルとなる時間データがずれたらどうなりますか?
時間の概念は物理的にあるかと思いますが、数値化された時刻や時計は所詮人為的なものにすぎず、人間への信頼が生じてしまう要素となります。したがって、ビットコインではBlock Heightという形で「時間」という概念を再定義しています。
時間は先天的に人類に備わっている概念?🏹
ところで、人類の多くは「時間」を認識しています。認識している時間は大きく2つに分類されます。
循環的時間:1日、24時間、1年、春夏秋冬
直線的時間:去年、来週、明日、近未来
太陽が昇り沈み、夜が来てまた朝が来る。時間は常に進み、過去に巻き戻ることはない。私たち多くの人類は時間を当たり前のように認識していますが、時間の認識は先天的なものではなく、後天的なのではないかという説もあります。
というのも、熱帯雨林気候に時間の概念を持たないと思われる民族がいるのです。文化的なものではなく、環境的な要因によって生じます。詳細は下記の動画を見ていただきたいのですが、軽く説明すると次のようになります。
循環的時間の欠如:木が多くいつも暗い、気候は年中同じ、周期的な環境がない
直線的時間の欠如:木々や植物により視界が閉ざされて暗く、遠近感が発達しない、「遠近」という概念がない
ビットコインへの時間の導入⌚
ビットコインの世界では、太陽の浮き沈みもありませんし、デジタル上に遠近の概念もありません。後天的に時間を認識する人間のように、ビットコインさんにも時間という概念を取り入れるための環境整備が必要です。
循環的時間:ブロック、2016ブロックごとの難易度調整
直線的時間:Block Height
また、どうやら物理世界でも時間は絶対的なものではなさそうです。アインシュタインが発表した相対性理論では「空間と時間が相対的に変化する」ということで、時間は一定というわけではありません。相対性理論なんて関係ないと思われがちですが、GPSや人工衛星関連の通信で利用されているようです。
アインシュタインの一般相対性理論によると、高さによって重力の強さが違うため、人工衛星と地上とでは時間の進み方が異なります。重力の違いによるこの時刻のずれは、1 日でおよそ 38 マイクロ秒くらい。これは、GPS の計算による位置にすると、1 km 以上違うことになります。こんなに違ってしまうと、正しい位置とはいえません。そこで GPS では、ごくわずかの時刻のずれもきちんと補正して、正しい位置を求めることができるようにしているのです。生活のなかに相対性理論が使われていると いうのは驚きですね。
→GPSにはアインシュタインの相対性理論が使われている?
時間は人為的かつ相対的な概念なので、ビットコインとして時間を再定義することは理にかなっていそうです。ビットコインにおける時間はブロックであり、マイニングという戦いの末に刻まれています。計算量という形で、ビットコインの世界でも物理的な概念を取り入れているように思います。時間に対するトラストレスの実現です。
また、ビットコインの時間は直線的です。時間の順序と不可逆性はハッシュ化により再現しています。物理世界で時間の矢が一方向なのはエントロピーの増大に関係しています。例えば水にインクを垂らすとじわじわ広がり均一化します。均一化した状態から巻き戻されることはないでしょう。暗号化であれば復号できますが、ハッシュ化であれば元の状態に戻せません。
難易度調整は人類時間との唯一の橋渡し🌉
ビットコインの世界だけどんどん時間が進んでしまっては、私たち人類はビットコインについていけません。そこで必要となるのが2016ブロックごとに生じる難易度調整です。難易度調整によって、人類の時間とビットコインの時間を繋ぐことができます。
難易度調整によってブロック時間が約10分になるように調整されます。2016ブロックは1ブロックを10分とすると、ちょうど14日になります。つまり約2週間ごとに時計の針を調整します。時間が相対的であること、ずれてしまうことを難易度調整によって解決します。
また、難易度調整の周期も14日ではなく2016ブロックと定義していることが重要です。ビットコインが自分自身で時計の針のずれを調整してくれます。半減期も約4年ですが210,000ブロックごとの周期です。14日、約4年は設計時に決めたと思いますが、それ以降はビットコイン目線の時間軸です。
難易度調整:2016ブロック=20,160分=336時間=14日
半減期:210,000ブロック=35,000時間=1,458.333日=3.995年
ビットコイン生成に必要なコストはマイニングにおける「エネルギー」と言われています。しかしながら、計算へ投入するエネルギー量を100倍に上げたとしても、2016ブロックが経過するとブロック時間は約10分に戻されます。ビットコイン生成に必要なコストは「エネルギー」と「時間」とも考えられそうです。
ビットコインは思っているよりもずいぶん物理的です。
ビットコインとブロックチェーンのあとがき🖊
ブロックチェーンだけではなく、Proof of Workや難易度調整などの要素も含めてしまいました。単一でブロックチェーン及び時間の概念を説明するのは難しく、複合的な構成の組み合わせによりブロックチェーンに意味が現れるということです。
昨今のブロックチェーンは処理速度、安定性などを求めがちです。しかし、高性能を実現しているのが限られた組織であれば、信頼する必要がありそうです。好きなチェーンの運営を信頼するもよし、疑問符を付けるもよしです。個人的には、自律的な構造が「安定」なのかなと思います。
この記事は2つのコンテンツに影響を受けています。
dergigiさんの「Bitcoin Is Time」
アンドレアスさんの講演「ビットコインではなくブロックチェーン?」
アンドレアスさんの動画は下記の対比が面白かったです。
ビットコインは面白いですが、革新的な技術「ブロックチェーン」
自動車は面白いですが、革新的な技術「タイヤ」
→「タイヤ」を伝統的な移動手段である馬と組み合わせると…馬車の完成!

dergigiさんの記事を読むと、ビットコインへの様々な方面での理解が深まりますのでオススメです。ただ彼の記事は長く難しいことがあるので、単純に翻訳するのではなく、アイデアを参考にしつつ自分なりの解釈や説明を交えたいなと思います。
アンドレアスさんの質問コーナーやビットコインの説明も学びが多いですね。アンドレアスさんはMastering Bitcoinの著者でもあります。前回記事に引き続きですが、「厳選Katakoto海外クリプトクリップ動画集」は動画でビットコインへの理解を深められておすすめです。恥ずかしながらリスニング力がないので、英語動画を日本語で理解ができていつも助けられています。
最後に、ビットコイン以外にもブロックチェーンは複数あります。それぞれのブロックチェーンはどのように「時間」を構築しているか、調べてみるのもおもしろいかもしれませんね。安定したブロック時間は自然なのか不自然なのか、便利なのは逆にどんなトレードオフがあるのか、なぜ非効率的な設計なのか。正解はありませんが、何事も常に理解を深めることは重要です。
今週のビットコイン関連ニュース⚡
最近はアフリカでビットコインカンファレンスが行われているみたいです。それに関連してニュースもアフリカ関連が多いです。🌍
決済企業ブロックは12月6日、アフリカのマイニング企業Gridlessのシードラウンドに参加。
アフリカでのマイニングと再生可能エネルギーの需要安定を図る。
マイニング収益が落ちても、再生可能エネルギーのインフラ構築になるので、何らかのメリットにはなりそうです。
Jack Dorseyの語りにも注目。
Strike、ライトニングでアフリカ諸国への送金サービスローンチ
12月6日、Strikeはアフリカ諸国への即時低額決済を可能にするSend Globallyを発表。
アフリカの決済プラットフォームBitnobと連携して実現。
ナイジェリア、ケニア、ガーナを初期の対象国。
「Send Globally」を使うと、Strikeユーザー(アメリカ)は、アフリカ諸国に手数料なしで即座にビットコインを送金できる。
支払いは即座に各国の法定通貨へ変換。
アフリカに送る機会がある人は少ないかもしれませんが、アフリカへの国際送金の第一歩となるでしょう。
ビットコイン投資信託GBTCで訴訟問題、マイナス乖離解消案巡り
12月7日、Grayscaleに対して帳簿記帳の開示を求める訴訟。
現在はマイナス48.62%。
GBTC買うメリットが多くなさそうなので、どうなることやらというイメージです。怪しい雰囲気ですね。
LNに関連するミートアップがありました。
内容はこぶシューさんがまとめてくれています。
→第二回Diamond Handsミートアップ参加レポート用事があって行けなかったのですが、ビットコイン関連のミートアップ機会があれば参加してみたいです。
アフリカは地理的な資産が多そうな気がします。土地もかなり広いですし。また、他先進国に比べてインフラが整っていないので、逆に自由度が高そうです。
アフリカがビットコイン先進国になるのかもしれませんね。🌍
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過去の記事:
#30 Hyperbitcoinizationとは?歴史と個人的感想📜
#26 破産したレバノンはBTCをマイニングしテザーで生活😲
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