こんにちは、もやしししゃもです。
今回は、ビットコインにまつわる格言やミーム用語をいくつかピックアップして意味などを紹介します。ゆるゆる回なので、ネタとして楽しんでいただければと思います。
ビットコイナーは何かと過去の言葉を引用してきて、戒めのように今起こっている状況に当てはめたりします。ビットコイン関係の投稿に慣れ親しんでいる人は意味を理解できますが、2021-2022年あたりに参入した方やビットコインに興味が無かった人は「何を言っているんだろ。。」と思うことも多々あることでしょう。(僕も知らないネタは結構あるかと思います。)
本記事ではそんなビットコイナー用語的なものをまとめます。別に知らなくてもいいですが、知っておくことでTwitterを楽しめたりビットコインへの理解を深められるかもしれません。
個人的な解釈も含まれていますので、その点はご了承ください。
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ビットコインの格言・ミーム用語📚
下記のような3カテゴリに分けてみました。合計18種類です。
ビットコインに関する学びの格言9選
ビットコインのミーム用語7選
Satoshi Nakamotoの格言3選
ジャンジャン紹介します。
ビットコインに関する学びの格言🗿
Not Your Keys, Not Your Coins.
Don't Trust. Verify.
Running bitcoin
1BTC = 1BTC
buy bitcoin
Bitcoin fixes this
Bitcoin is not Crypto
Be Your Own Bank
There is no second best
Not Your Keys, Not Your Coins.
あなたの鍵でなければ、あなたのコインではない
— Andreas M. Antonopoulos
ビットコインに限らず、FTX事件やCeFiの倒産など事件が起きるたびに人々は「Not Your Keys, Not Your Coins.」とつぶやきます。暗号資産取引所やレンディング業者などで表示されているあなたの残高は、真の意味ではあなたの所有資産ではないことを示します。
「マスタリングビットコイン」や「マスタリングイーサリアム」の著者であるAndreas M. Antonopoulos氏によってこの格言が生まれました。簡易で語呂が良く、戒めとして機能するタイミングが多いため、かなり有名な言葉かと思います。
ビットコイン含め暗号資産においては、秘密鍵の所有者がコインの所有者となります。もしあなたが一つも秘密鍵を持っていないならば、あなただけがコントロールできる暗号資産が無いということを意味します。ウォレットや秘密鍵などについて学ぶことで、ビットコインの重要性について学ぶことができるでしょう。
Don't Trust. Verify.
信じるな。検証せよ。
「Don't Trust. Verify.」はカナダのビットコイン関連の企業であるBlockstream社のスライドで扱われたスローガンのようなものです。短めで使いやすいので、ビットコイン以外のDeFiなどでも相性が良さそうです。DYOR(Do Your Own Research)とも意味が近いかもしれません。
この格言は、「人の言っていることを信じずに、問題がないかは自分で検証しよう」といった意味です。騙されやすい人は、誰かを信じて騙されてから検証を始めます。ビットコインに限らず、不動産や証券など資産関係は詐欺や嘘が蔓延しています。あなたの大切な資産であれば、インフルエンサーや営業マンの影響を受けずに、自分で調べて意思決定をしましょう。
逆にネタで「Don’t Verify. Trust.(検証するな。信頼せよ。)」などもあったりします。「まず、私を信じてください。」そんな人がいたら裏があるので気を付けましょう。言うことくらい誰でもできます。
Running bitcoin
— Hal Finney (2009-1-11)
「Running bitcoin」はビットコインの初期貢献者であるHal Finney氏による、2009年1月11日に投稿された歴史的なツイートです。HalはSatoshi Nakamotoからビットコインを初めて受け取った人であり、ビットコイン以前の2004年にReusable Proof-of-work(RPOW)を作成したコンピューターサイエンティストです。一部の人の中でHalがSatoshi Nakamotoではないかとも言われています。
Halは2009年8月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を診断され、5年後である2014年8月28日に亡くなってしまいました。現在はアルコー延命財団によって凍結保存されています。
2013年3月19日に投稿された「Bitcoin and me」では、Satoshiとのやり取りやALSの状況、彼の人生について知ることができます。今でも彼が亡くなった8月28日にはこの投稿へ多くの返信が付きます。(最初読んだとき泣けてきました)
ビットコインのノードを建てた人などはHalへのリスペクトを込めて「Running bitcoin」と投稿したりするかもしれません。Hal Finney氏はビットコインの歴史です。
1BTC = 1BTC
「1+1 = 2」並みに当たり前のように見える「1BTC = 1BTC」。一見当然すぎて意味不明ですが、この数式には2つの意味が込められていると思います。
1つ目は、「法定通貨建ての価格は関係ない」といった意味合いです。価格が下がった時に、ビットコインは価格ではなくビットコイン自体が重要である、と狼狽しないよう自身を勇気づけるときに使われたりします。
2つ目は、「ビットコインの価値は常に変わらない」という意味合いです。イメージとして「1BTC(過去) = 1BTC(未来)」という感じです。左辺右辺で時間軸が違っても、ビットコインのコアデザインは変化しないため、ビットコインの価値希釈が起きないということを意味しています。逆に言うと発行スケジュールが不明確なUSDは「1USD ≠ 1USD」ということです。
buy bitcoin
よく「buy bitcoin」という意味深ツイートを見たことがあるかもしれません。これは「儲かるから今すぐビットコインを買え!」という意味ではありません。たいていの場合、投資助言ではないのではないかなと思います。
「buy bitcoin」は、中央集権組織の倒産や政治腐敗、増税やインフレーション、戦争など社会の崩壊への憐れみを込めて投稿されることが多いです。自分がコントロールできないことはもう仕方ない、自己防衛としてビットコインを持っておこうといった意味合いです。
似た言葉で「Stay humble. Stack sats.(謙虚であれ。satsを積め。)」などもありますね。こちらは、金利や賭けに目をくらませずに、地道に仕事をしてビットコインを集めましょうといった意味のように思います。
Bitcoin fixes this
ビットコインはこれを修正する
「Bitcoin fixes this」も「buy bitcoin」と意味が近いような気がします。貨幣価値の崩壊、政治腐敗、中間搾取構造など色々な問題に対して、ビットコインが解決策であることを訴えています。
「fix the money, fix the world.(お金を修正し、世界を修正する)」などもあります。ビットコインは単なるデジタル通貨ではなく、世界に影響を与える存在であることを示しています。スケール大きいです。
Bitcoin is not Crypto
ビットコインはクリプトではない
「Bitcoin is not Crypto」は割と最近流行し始めた言葉かなと思います。ビットコインはクリプト(その他の暗号資産)とは別物だという意味です。賛否両論ある考え方かもしれませんが、ビットコイナーでこの言葉を言う人が多いと思います。
注目すべきは、下の図にFiat(法定通貨)が含まれることです。ビットコインは法定通貨のアンチテーゼであり、クリプトが目指すものとは異なることを意味していると思います。「別物」というよりは「方向性が違う」と言う方が対立を生まなそうな気がしますね。
Be Your Own Bank
あなた自身の銀行になる
2023年3月11日に追加しました:アメリカのシリコンバレー銀行(SVB)が一日で経営破綻し、USDCの発行体Circle社も一部SVBにドル資金を預けていたようで、ステーブルコインのデペグや、銀行の信用問題が界隈を賑わせました。
「Be Your Own Bank」はあなた自身の銀行になるということで、特定の第三者(銀行など)が不要なP2P電子通貨システムの役割を表現しているように思います。
こちらは「Not Your Keys, Not Your Coins.」と関係のある言葉であり、取引所や銀行など特定の第三者を信用してお金を預けなくても、ビットコインであれば自分で自分のお金を管理することができるという意味合いがあります。
銀行に預けているお金は、本当にあなたのお金ですか?ある日突然口座から引き出せなくなるかもしれません。ビットコインでは、真にあなたの管理下にあるお金を実現できます。
個人的には、ビットコインの保管以外にも銀行の役割はあるかと思います。下記の3つでしょうか。
ビットコインの保有:第三者の管理は不要です、秘密鍵と公開鍵のペアがあれば成立します
ビットコインの送金:特定の第三者による検閲はなく、好きなところに送金ができます。また、自分でノードを建てていれば、自分の力で送金を開始できます
ビットコインの検証:誰かが不正しているか気になる?エクスプローラーを見たり、ノードを建てれば誰でもデータを確認することができます
「Be Your Own Bank」を誰が最初に言ったかはわかりませんが、Twitterなどを見るにBitcoinが存在する前から言われているような、割と元来使われるような言葉なのかもしれません。
「BYOB」と略されたり、「B」をビットコインの文字「₿」に変えた「₿e your own ₿ank.」なども使われたりします。
There is no second best
2番目にベストなものは存在しない
— Michael Saylor
「There is no second best」はマイクロストラテジーの元CEOであるマイケル・セイラー氏の言葉です。文脈としては、ビットコイン以外に暗号資産の中で2番目にベストなものは無いという意味です。
マイクロストラテジーはBTCを大量に買い付けしていることで有名です。2024年3月時点で21万BTC(総発行量の1%)を保有していると言われています。
マイケル・セイラーのこの格言はとあるインタビュー動画の切り取りです。切り取り動画が加工され、ミームのように拡散し、今ではマイケル・セイラーの決め言葉のようになっています。
当初の文脈は暗号資産でしたが、今や全ての資産クラスにおいてビットコイン以外は「There is no second best」と言っているとのこと。
「2番目にベストなものが存在しない」の意味はもはや比較するに値しないということかと思います。何とも比較することができない唯一無二の存在であるということです。
関連記事:なぜビットコインの再現性が低いのか?🧪#29
個人的にはインターステラー版が好きです。本当は結構悲しい場面なのですが、そこでマイケル・セイラーがビットコインを熱く語ってる姿が画面に出てくるのが笑えます。w
ビットコインのミーム用語🐇
HODL
Rabbit hole
Magic Internet Money
buy the dip
Pleb
Orange pill
Hyperbitcoinization
HODL
「HODL」は2013年12月18日に投稿された「I AM HODLING」にて、HoldingなのにHo’dl’ingと間違えて投稿されたことで生じました。
「HODL」は短く使い勝手が良いので、ビットコインに限らずよく使われています。価格が落ちて落ち込んでいるとき、価格が上がって高揚しているときなど、暗号資産を手放さないぞと意気込んでいる時に利用されます。
僕は最初、なんでみんな綴りを間違えているんだろうと思いました。笑
Rabbit hole🐇
ウサギの穴
「Rabbit hole」は『不思議の国のアリス』が元ネタとなっています。海外では「一度は入ってしまったら戻れない穴」「別世界への入り口」のようなニュアンスで利用されているスラングのようなものです。🐇
ビットコインにおいては「一度は入ってしまったら戻れない穴」ですね。一度ビットコインのおもしろさに気付いてしまったら、ビットコインが頭から離れなくなってしまうというような状態です。マトリックスのオレンジピルネタとも絡むかもしれません。
TIP_NZさんの歌はカッコよくてオススメです。
Magic Internet Money
2013年2月18日「Ideas for /r/Bitcoin ads?」というRedditのスレッドで、ビットコインのReddit広告アイデアを募集したところ、1時間でMS Paintで作成したイラストが投稿されました。
確かにビットコインは魔法のようです。当時のスローガンとして良かったかもしれません。少し腑抜けていて、愉快でいい感じです。
buy the dip
「buy the dip」はいわゆる押し目買いですね。下落(dip)しているから買うといった言葉です。「落ちてくるナイフはつかむな」とは相反する言葉ですが、相場の答えは決まっていません。
似た言葉で「BTFD(Buy the Fucking Dip.)」もあります。落ちてる!買うぞ!みたいな奮い立たせる言葉です。ちょっと投資助言っぽさがありますね。笑
Pleb
平凡な人
Plebはplebianの略で「平凡な人」を表します。古代ローマにおける貴族ではない一般人はそう呼ばれていたみたいです。
自分が一般人であることを認識して、地道に謙虚に生活しましょうといった感じかと思います。Plebを時々見かけることはありますが、正直使うタイミングがわかっていません。w
Orange pill
オレンジピル
映画「マトリックス」が元ネタです。
「青い薬を飲めば… 物語はそこで終わりだ。自分のベッドの上で目覚めて、そこからは自分が信じたいものを信じればいい。赤い薬を飲めば… 不思議の国にとどまることができる。このウサギの穴がどこまで深いのか見せてやろう」
赤い薬を、ビットコインのテーマカラーであるオレンジに変えています。オレンジピルを選ぶことで、世界の見え方が変わってしまうということです。そして選ぶのはあなた自身だということです。
「ENTROPIA」というBIP-39のシードフレーズ生成のためのオレンジピルグッズがあるみたいです。機能的でもありますし、こういうグッズはおもしろいですね。
Hyperbitcoinization
ハイパービットコイン化
ハイパーインフレーションを文字っている言葉で、全法定通貨の購買力がビットコインに吸収されるという考え方です。
2014年3月31日に投稿された記事のタイトルであり、当時から法定通貨に影響を与えるものと捉えられていました。
Hyperbitcoinizationは過去の記事で説明をしているので興味があれば見てください。
Hyperbitcoinizationとは?歴史と個人的感想📜#30
Satoshi Nakamotoの格言🧢
私はあなたを説得しようとする時間はありません。ごめんなさい。
ビットコインの性質上、バージョン0.1がリリースされると、そのコアデザインはその生涯にわたって固定化されます。
従来の通貨の根本的な問題は、それを機能させるために必要なすべての信頼です。
If you don’t believe it or don’t get it, I don’t have the time to try to convince you, sorry.
信じられない、または理解できない場合は、私はあなたを説得しようとする時間はありません。ごめんなさい。
— Satoshi Nakamoto
この言葉は、ビットコインについて色々説明したけど、一向に興味を持ってくれない時に使われる言葉です。突き放したようで、一見冷たい感じですが、不毛な議論は終わりましょうという感じですかね。
こちらは2010年6月29日の10分のファイナリティが長すぎる件における議論となります。本文では「このリンク先を見てね」とあるので、比較的良心的だと思います。
また、続きがありSatoshiとの議論相手は下記のように返信しています。無事理解できたようです。
I fully believe you and came to conclusion you did.
私はあなたを完全に信じており、あなたがそうであったという結論に達しました。
The nature of Bitcoin is such that once version 0.1 was released, the core design was set in stone for the rest of its lifetime.
ビットコインの性質上、バージョン0.1がリリースされると、そのコアデザインはその生涯にわたって固定化されます。
— Satoshi Nakamoto
初期の段階から、ビットコインは盤石な設計であるということを示唆する格言となります。Satoshiの考えとしてもコアデザインを固定化することを重要視していることがうかがえます。
オリジナルは、2010年6月17日のGavin Andresenが作成したスレッドです。Gavin Andresen(@gavinandresen)はビットコインの初期貢献者の一人です。
The root problem with conventional currency is all the trust that's required to make it work. The central bank must be trusted not to debase the currency, but the history of fiat currencies is full of breaches of that trust.
従来の通貨の根本的な問題は、それを機能させるために必要なすべての信頼です。 中央銀行は通貨の価値を下げないように信頼されなければなりませんが、法定通貨の歴史はその信頼の裏切りに満ちています。
— Satoshi Nakamoto
オリジナルは2009年2月11日に投稿された「Bitcoin open source implementation of P2P currency」という記事です。ビットコインのホワイトペーパーとWebサイトのリンクが貼ってあり、ビットコインの存在を知ってもらおうと発信活動をしていたのかもしれません。
当初からSatoshiは法定通貨及び信頼への疑念を抱いており、ビットコインを解決策であると考えているようにうかがえます。ビットコインの意義を技術に落とし込み、実現してしまっているんだなとしみじみ思います。
ビットコインの格言は今でも通用する⏲
ビットコイン関連の格言やミーム用語で、今も利用されているものは多いです。これが意味することは、歴史は繰り返すということです。過去の戒めは、未来になっても通用します。
格言は紹介したもの以外もたくさんあります。下記のtwitter botが個人的にオススメです。好きな言葉を見つけてください。
特に、Satoshi Nakamotoの発言は限られているものの、ビットコインの哲学について学べるものがあります。下記リンクでまとまっていたりしますので、興味があれば見てみてください。
今週のビットコイン関連ニュース⚡
東京電力ら3社、仮想通貨マイニングに活用可能なデータセンター構築へ
余剰電力を活用して「分散コンピューティング」を稼働させます。
実際はKAMIKAZEというASICが大量に置かれていて、ビットコインマイニングが行われていると考えられます。
「ビットコイン」という名前を隠してでも、ビットコインに貢献するなら個人的にポジティブです。
ウォーレン上院議員がセルフカストディ ウォレットを対象とした新しい暗号法案を提出
ウォレットサービスプロバイダーに対するAML/KYCを求めるといった内容のようです。
トルネードキャッシュの件もあり、ウォレット周りの議論は色々ありそうです。
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過去の記事:
#31 なぜビットコインにブロックチェーンが必要か?時間との関係⌛#31
#30 Hyperbitcoinizationとは?歴史と個人的感想📜
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