こんにちは、もやしししゃもです。個人的な好みでダーク系のテーマに変えてみました。👾
ビットコインでよく指摘されることとして「オープンソースなので真似される」「後発の性能の良いチェーンに負ける」といったビットコインの再現性に関わる点があります。イノベーション時代の今、アイデアやソフトウェアはパクり放題、iPhoneはどんどん新版が発売され、古きものは新しきイノベーションに潰される。そんな加速的な時代に生きているので、古臭いビットコインは埋もれてしまうと考えるのもおかしくはありません。
一方で、個人的にビットコインの再現性は限りなく低いと考えています。実際、似た暗号資産としてLitecoinやBitcoinCashなどがありますが、いわゆる「ビットコインキラー」にはなれていなさそうです。本記事では、なぜビットコインの再現性が低いかということを考察します。
↓LNでのチップはこちら(1satoshiに感謝🙏)
moyashamo@zbd.gg
なぜビットコインの再現性が低いのか?🧪
ビットコインの再現性が低い理由について、かなり幅広めに考えてみました。下記の8つのテーマでそれぞれ詳細を記載します。
Satoshi Nakamotoが守った自身の匿名性
プレマイニングの実質的排除
オープンソース
価格0での運用
自然発生的な価値形成
プルーフオブワーク(PoW)の設計
真似しても儲からないしつまらない
ビットコインの長い歴史
1.Satoshi Nakamotoが守った自身の匿名性
Satoshi Nakamotoはビットコインの発明者ですが、2022年現在も正体不明です。Satoshiは自分の身元がわからないよう、初期のビットコインサポーターにも自身のことを話さず、誰であるかの情報がネット上に残らないよう徹底的に気を付けてきました。
まるで「匿名のSatoshi Nakamotoというビットコイン発明者」ということ自体がビットコインの設計の一部であるとも思えます。というのも、創設者や運営はプロジェクト方針の意思決定機関であり、真に分散化させるためには障害になってしまいます。
昨今の暗号資産プロジェクトは、ファウンダーが誰かを重視したりしますし、仮に今ひっそりとプロジェクトを始めたとしても、SNSやメディアで大量拡散されてハッカーや機関などに身元を割り出されてしまうことでしょう。2008年ではほぼ誰にも注目されませんでしたが、今となっては発明者の匿名性を守ることが難しそうです。
2.プレマイニングの実質的排除
ビットコインの場合、発明者が主に初期ブロック生成を担当するため、初期のマイニング報酬を得て大量にコインを保有している可能性が十分にあります。創設者が大量に保有しているコインにはあまり良い気分がしないです。プレマイニングの問題が実際に顕在化するかはわかりませんが、後々利権で殴ってくる可能性があると思うと気が気ではありません(特にコイン数量がパワーを持つ場合)。
ビットコインのマイニングを初期にしていたと思われるSatoshiですが、ネット上から消息を絶つことにより利権的な要素を排除しました(意図的かは不明)。また、ビットコインが生まれたての時期は価格が付いておらず、興味を持ったギークがマイニングしていただけであり、大規模な機関なども入っていなかったことでしょう。また、BTCを大量に持っていたとしても、PoSとは異なりできることは送金したり法定通貨と交換するだけです。
一方で、今となっては暗号資産に注目している人口が多いですし、消息を絶つ予定でプロジェクトを始める運営も旨味がないですし中々いないでしょう。こういう人間の欲に絡む部分は、人が関われば関わるほど抜け駆けなどボロが出てきます。Satoshiはグループか個人か不明ですが、グループでここまで匿名性と無欲さを貫いたならすごいグループだと思います。(僕は「個人」かなと思っています)
実際、Satoshiのマイナーと思われる「Patoshi」とPatoshiの得たブロック報酬について移動されたかなど分析されています。ビットコインのプレマイニングの実態を厳密に調査するのは難しそうですが、興味があればぜひ調べてみてください。
3.オープンソース
オープンソースであれば誰でも自分だけのビットコインを作れますが、ビットコインをビットコインたらしめているものはソースコードだけではなく今日まで続けてきたブロックや信頼の歴史です。オープンソースで開かれているので、あえて再発明されたものに興味を持つ人は少ないでしょう。
逆にクローズドソースであれば、ちょっと異なる実装がされたり、オープンソースで展開するなどの余地があったかもしれません。逆説的ですがオープンソースにすることで、共通の認識ができ、「わざわざ再現しなくてもビットコインでいいんじゃないか?」となるのではないでしょうか。少し違いますが、夜神月に「私はLです」と言い放ったLと似ている気がします。
4.価格0での運用
ビットコインは奇妙なことに価格が付く前からマイニングされ、ノードにより検証されてきました。しかも、将来的に価格が付くことは定かではありません。中には先見性を持った人もいたかもしれませんが、初期段階の参加者の多くは金儲けというよりはビットコイン自体に興味を持ったギークな人が多いでしょう。
そもそも市場の概念もないわけですから、最近のDeFi関連の給付金に比べてより期待が薄いです。価格が0、発明者は匿名、VCもいない、今時そんなプロジェクトにマイニングリソースを投下する人はいるでしょうか?
価格が0の中でも理念哲学的な興味や、技術的な興味が人を惹き付けました。価格0での運用は人を選ぶため、利権者の排除に繋がる要因だと思います。
また、ノードも一般の人が参加できるような技術要件です。ブロックサイズも1ブロック当たり約1MBであり、将来的なストレージとしても耐え得る設計となっています。とはいえ、価格が0の中で企業も必要とせず、個人の集まりで運用されたビットコインの初期段階は珍しい状況でしょう。
5.自然発生的な価値形成
ビットコインは価格0からスタートしました。貝殻や金などの自然物と同様に、既にそこにあるビットコインというものに人々が勝手に価値をつけたのです。2009年1月にスタートしたビットコインは、2009年10月にビットコインの獲得コストから価格を付けられ1BTC=約0.07円でした。つまり、約9ヵ月間法定通貨との繋がりが無かったとも言えます。
ビットコインの発明者は利権を捨てました、VCもいません、ICOもしていません、自発的に誰かが受給で価格を付け始めました。この自然発生的な価値形成は、特定の誰かの息がかかっていないことを暗示しており、ビットコインへの信頼へと繋がります。
今の初期価格形成と言えば、VCが出資するときに価格合意したり、取引所に上場するときに価格を付けたりという感じでしょうか。受給で初期価格を付けるというよりは、期待で初期価格を付けるというのに近いかなと思います。自然ではなく人工的な価格形成であり、誰かの息がかかっているように思います。
6.プルーフオブワーク(PoW)の設計
ビットコインを再現するなら、プルーフオブワーク(PoW)も必要です。しかし、PoWを成り立たせるためにはある程度のマイナーをかき集める必要があります。また、ビットコインを超えるためにはビットコインからマイニングリソースを奪う必要があります。これまで築いた信頼と持続可能性という引力があるので、マイニングリソースという観点でビットコインと正面衝突するのは難しそうです。
仮に高い収益率でマイナーへのヴァンパイアアタック的なのが一瞬成り立ったとしても、流動性が低いコインを大量に売られて維持できずに、チェーンのセキュリティ的にもハイリスクとなってしまうでしょう。
PoWはマシンも電気も使うのでリソースは有限です。有限リソースをハイリスク資産に投じるのも、ローリスク資産に投じるのもマイナーの自由ですが、マイナーであれば価格維持可能性は重要な指標の1つでしょう。
PoWの仕組みは一強を加速させると思っています。僕のイメージは下図のような「孤島に立つ巨木」です。孤島に降り注ぐ太陽光(リソース)は有限であり、ほとんど巨木(ビットコイン)のものです。雑草は生えますが、少し大きくなっても巨木に太陽光を遮られ成長が止まります。巨木はどんどん成長し、一強が加速します。
一方で、PoSはマイナーをかき集める苦労は不要です。コインを発行して良い感じに振り分ければ分散化完了です。簡単なため再現性が高く、新興チェーンではPoS採用が多いです。つまり、PoSは競合が生まれやすいので常に新規プロジェクトに身構える必要があります。
7.真似しても儲からないしつまらない
ビットコインを再現するには、創設者が利権を手放す必要があります。わざわざ創設するならリターンを得たいところですが、リターンを得るとビットコインと対峙することは難しくなります。「創設者が儲かる版ビットコイン」なんて誰が選ぶのでしょうか。
また、ビットコインのできることは送金くらいで差別化を形成することが難しいです。できる差別化といえば、ブロックサイズを大きくする、ブロックタイムを短くする、TPSを増やすなどでしょうか。結局、ノード構築の難易度が上がったり、集権的になったりとバランスが崩れますし、ビットコインに取って代わるようなメリットでもないかなと思います。LitecoinやBitcoinCashなどもありますが、パラメーターの違いが大きな優位性にはなっていなさそうです。
せっかくやるなら送金以外の機能もつけたいですよね。スマコンを導入したり、データ格納機能を付けたり、そしたらビットコインとは別のプロジェクトとなってしまいます。
ビットコインの性能を上げたいなら、Lightning Networkのようにビットコインを基礎として性能を加える方が良さそうです。巨木に生えるきのこのように、LNはビットコインと共生関係にあります。
8.ビットコインの長い歴史
ビットコインは2009年に生まれた初めての暗号資産と言われていますが、デジタル通貨という観点ではもう少し歴史があります。DigiCash、Hashcash、E-Gold、b-money、Bit Goldなど、人類は幾度となくデジタル上の通貨にチャレンジしてきました。しかしながら、2022年に存在しているのはビットコインくらいです。ビットコインはぽっと出のプロジェクトではなく、大量の試行回数の中で奇跡的に生まれたデジタル通貨だと認識しています。まるで、大量の星々の中から奇跡的に生き物や人間が生じた地球のようなものです。
また、ビットコインが生まれた後もBitcoinCashのハードフォークなどの試練を通じて、ビットコイン自体の堅牢性が高まりました。ビットコインと考えが合わないなら他へ行くかハードフォークをすればOKです。
今まで止まらずに生き延びてきた歴史が、ビットコイン自体の信頼および価値になっています。歴史の再現は難しそうです。ビットコインの歴史は下記サイトがわかりやすいです。
関連サイト:https://lostinbitcoin.jp/history/
ビットコインは「お金」のイノベーション💰
つらつら書きましたが、改めてビットコインの再現性は低いなぁと思います。ビットコインの要素には技術だけではなく、哲学、信頼、構造、歴史なども含まれていそうです。
ビットコインは確かに古い暗号資産ですが、ビットコインは「お金」のイノベーションとして新しいものだと思います。「お金」は元々人間独自のアイデアであり、人類のお金は姿形を変えてきました。貝殻や石に始まり、金属、硬貨、国の信用、と自然物から人工物に移り変わっています。人工物である法定通貨はコントロールが効いて便利ですが、やっぱり利権が絡みます。一方で、ビットコインはコントロールできませんが、自動かつ分散的に管理されて利権がないよう設計されています。
ビットコインはデジタル上の「自然物」または「自立した生物」のようなものです。生まれたての時期はSatoshi Nakamotoやサポーターなど、一定の支援が必要な人工物に過ぎませんでした。その後、産みの親であるSatoshiは離れましたが、難易度調整という恒常性を持ち、約10分ごとにブロックという名の心拍を刻んでいます。
「お金」の原点に立ち返り、意思を持たないデジタル上の自然物へと戻ってきました。ビットコインが生まれて14年というのは、お金の歴史を考えるとまだまだ新しい存在に思えます。ビットコインの次があるとすれば、暗号資産やブロックチェーンとは異なるアプローチですかね。利権を得ずに「健全なお金」を作ることは相当な覚悟と実力が必要であり、設計して実行し世にビットコインを産み落としたSatoshi Nakamotoは改めてすごいですね。
今週のビットコイン関連ニュース⚡
ブラジル最大手銀行グループイタウ・ウニバンコ・ホールディング(Itaú Unibanco Holding S.A)が2023年2Q(4〜6月)にビットコインのカストディサービスを提供する予定
金融大手であり総資産は2022年9月30日付けで62兆円に相当
FTXの事件がありつつもカストディ需要は一定あるのですかね
バイナンスがBTCのProof of Reserves(PoR)
ユーザー分のBTCに対する資金の保有割合は101%
意図はわかりませんが新しい流れを作ろうとしている感
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Spotlightに情報が散らばっていたのでありがたいです
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ビットコインとクリプト/web3はもう完全に別物です【FTX事件からの教訓】
おもしろく勉強になる記事なので読むのがおすすめです
色んな意見がありますが、自分で考えることが大切ですね
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